高級時計を頂いた時のエピソード

それは私の誕生日のことでした

それは私の誕生日のことでした。
前々からお祝いしてもらえるということで、好きな店を予約し、天気予報も早くから調べて、何を着ていくかすべて事細かく決めて楽しみにしていたのです。

当日、約束通りの時間に彼は遅れることなく現れ、二人でレストランに入り、案内された席に座っていい雰囲気になりました。
美味しいお酒に食事、天候にも恵まれた誕生日に満足し、宴もたけなわになってきたそのときに、照れくさそうに彼が「これ、プレゼント」と小さな箱を無造作にテーブルに置いたのです。

嬉しさと気恥ずかしさ、でもその場で喜ぶ顔を見てもらいたいとお礼の言葉を言いながら開けると、そこには見たこともない綺麗な懐中時計が入っていました。
腕時計じゃなかったことに少しがっかりしながらも、心遣いが嬉しくてそれを手にした瞬間、ポロリ膝の上に落としてしまい、慌てて拾おうとしたときにその先端の部分が網目の粗いニットの洋服にひっかかって取れなくなってしまったのです。

慌ててしまった私は力いっぱい引き上げたため、ニットの糸を伸ばしてしまってさんざんなことになってしまいました。
高級時計をプレゼントされた嬉しさより、ニットが彼の目の前でみっともないことになってしまった恥ずかしさのほうがつのり、なんとも後味の悪い誕生日になったことが忘れられません。

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